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【ライブレポ】米津玄師 LIVE TOUR 2019 脊椎がオパールになる頃 @札幌(北海きたえーる)公演 2/16(1日目)

※この記事はライブレポートです。がっつりネタバレしていくので今後ライブに参加する方は閲覧を避ける事をオススメします。

 

 

 

個人的に後にも先にも無いであろう2週連続ライブ期間。その第2週目は今が旬の米津玄師のライブに行って参りました。米津玄師のライブは初参戦だったのでいろんな意味でドキドキしていたのですが、見応えたっぷりの充実した内容でした。

 

大ヒットシングル『Lemon』や紅白の出演を終えた今も続々とファンが増えてるであろうアーティスト。本ツアーからキャパシティの大きい会場でライブの開催が決まった事もあってか、セットを動かす大規模な演出や大人数でのダンスパフォーマンスが行われたのが印象的でした。

そして、そんなライブを1階のスタンド最前列から2番目の席で超快適に見れたのが何よりも嬉しかった。身長の低い僕にとって切っても切り離せない問題が完全に取り払われ、幸せな時間を過ごさせてもらいました。

なので今回は1曲ずつレポートしていきたいと思います。

 

 

1.Flamingo

薄暗い照明で洋楽(詳細わかりません)が流れる中、バンドメンバーと米津さんが登場。直後にこの曲のイントロが流れ会場が湧きました。今回はアルバムを引っさげたツアーではないので新しいシングル曲はやるだろうと予想はできていましたが、やっぱり興奮するものですね。照明、モニター演出が共にシンプルでカッコいい感じでした。

 

2.LOSER

正直、このヒップホップ的な伴奏のノリにくさに驚かされた1曲でした。何というか、近年の米津玄師の中でもバンドサウンド主体以外の曲は大体日本人の辞書には無い類の音楽なんですよね。それが彼の楽曲の面白い所でもあるのですが。

間奏後はステージの一部がせり上がる演出。派手な照明器具の下で歌い踊る米津さんが画になりすぎてビビりました。そして最後は高所から見下ろしながらお決まりの高笑い。この辺はもう「ライブ」というより「ショー」という感じでした。

 

3.砂の惑星

センターのモニターには南方研究所のMVを少し改変した映像が流れていました。ミクが登場する終盤では何故かネガフィルムのように色が反転されていましたが、どういう意味かは謎…。

 

4.飛燕

旅立ちを連想させる爽やかな一曲。この曲に関してはライブの序盤以外に立ち位置が見つかりません。

 

5.かいじゅうのマーチ

「自分は歪な存在である」という米津玄師自身の認識が肯定的に表現された曲。個人的に好きな曲の一つです。この後の演出やパフォーマンス集団が着ていたパーカーのデザインも怪獣がモチーフになっているようだったので、これは相変わらず彼の根本的なテーマであり続けているのでしょう。

 

6.アイネクライネ

他者の存在があって初めて自分に対する否定的な意識がなくなるという、ある意味、前曲とは対照的な位置に存在する曲だと思います。3枚の大型モニターを効果的に使ったMVモチーフの演出がとても良い感じでした。

 

MC

「くだらない日常から一旦抜け出して非日常を楽しんで」「世界で一番楽しい時間を」

そんな内容の話だったと思います。しかしそんな発言とは裏腹に、ここからは結構攻めた演出が続きます。

 

7.春雷

「恋に落ちる」という感情をここまで豊富な語彙力で表現するアーティストは初めて見ました。カラフルなモニター映像含め、どこまでもアーティスティックです。

 

8.Moonlight

ここからは米津ワールド全開。この曲ではセンターモニター前のステージがせり上がり、2人の男女がダンスをする演出が。

 

9.fogbound

ステージにスモークが焚かれる中、三角形の照明器具が船のような形になったり、また戻ったり。霧の中を船が彷徨う、どことなく気怠い情景がそこにはありました。

 

10.amen

10人近いダンサーが中央のせり上がったステージで踊り、その下で米津さんが歌い、照明器具がうねうね動き、スモークも焚かれ続けるという何ともカオスな状況に。この曲、実は初めて聴いたのですが禍々しい演出も相まってひたすら圧倒されていました。『fogbound』の船が嵐でもみくちゃにされるようなイメージを抱いたのですが正解がイマイチわからない…。

 

11.Paper Flower

この曲でもセンターモニター前のステージで5、6人のダンサーがパフォーマンス。『Moonlight』からここまでの4曲は米津玄師の楽曲の中でも特に難解な曲がズラッと並びましたが、演出やパフォーマンスを見ても結局よくわからないというのが正直なところ。まぁ音楽の解釈に正解はないので、リスナー各々の感性に身を任せて

 

12.Undercover

3rdアルバム『Bremen』から唯一の選曲。「困難から逃げる事を肯定する」ような楽曲が立ち並んだアルバムでしたが、この曲もその代表格だと思います。前曲からの流れがとても綺麗。ここでは10人のドラムパフォーマンス集団が登場。

 

13.爱丽丝

照明器具のモニターには中華風な電飾やネオンサインの映像が出現。fogboundツアーよりも世界観が色濃く演出に反映されていました。これも個人的に好きな曲の一つです。

 

14.ピースサイン

イントロで銀テープ放出。ただ、席の位置的にギリギリ届かず…。バンドサウンド全開なので、他の打ち込み音中心の曲よりもライブ化けしていた印象です。

 

15.TEENAGE RIOD

開演前、いざ米津玄師のファンを目の前にしてみると、全体的に年齢層が低めなことに気付きました。何故今になって米津さん本人が十代の時に書いた曲を、十代のリスナーに向けて歌うのかなと疑問に思うところがあったのですが、そんな人達の前で毎回ライブを重ねていれば必然的にこういう曲も生まれるわなぁと妙に納得しました。誰もが大人になって、ジジイやババアになって平々凡々と暮らす日を迎えるなら、青臭くて荒んだ心のまま突き進むのもまた一つの正解。

 

MC

「良い事や悪い事を繰り返していく日常の中で僕の音楽を選んでくれて光栄です」というような話。これは次に披露する曲の為にも必要な話だったのではないかと思います。

 

16.Nighthawks

米津さんのモヤモヤした日常から音楽ができ、その音楽を伝ってリスナーに広がっていくイメージが一番わかりやすく描かれた楽曲だと思います。彼の音楽は決して「世の中を良くしよう」とか「希望を持とう」というような無理した前向きさはありません。このくだらない世の中でいかに自分らを肯定して生きていくか、という一切無理していない前向きさがどこかにあるので僕は彼の音楽を好きになったのかもしれません。

 

17.orion

ドラムパフォーマンスチームやバックモニターに映る星、ステージに沿って火が灯る演出によりとても幻想的な空間が出来上がっていました。同じく「祈り」や「切なさ」といった特徴を持つ、あの曲に繋がるのも見所です。

 

18.Lemon

前曲が終わった直後に『Lemon』のフレーズを用いたストリングスが流れ、会場内がざわつきが静まった後に歌い出し。曲中、柔軟剤とか香水系のいい匂いがするなぁと思っていたら、背中に不自然な風が当たっている事に気が付きました。どうやらこの曲の間だけ送風機でレモンの香りを会場全体に送っていたみたいですね。映画ではよく4D上映なんて聞きますけど、ライブで体感したのはこれが初めてです。

 

本編は『Lemon』で一旦終了。アンコール中には上部の照明器具が降りて、そのモニターに怪獣(?)の脊椎のレントゲン写真が映し出されていました。本当に「余すところなく‼︎」っていう意思を感じる。

 

MC

アンコール後はバンドメンバーを絡めた長めのMC。やっぱり本拠地が東京のアーティストってのは雪と氷にまみれた極寒の地では色々苦労するんだなぁと思ったり…。

 

19.クランベリーとパンケーキ

ゆるーい感じのMCからのこの曲。国民的には米津玄師と言えば紅白のあの綺麗なイメージなんでしょうけど、実はプライベートでは無類の酒好きの男。飲み会であの男をTwitterでイジって軽く炎上するくらいが本当は彼の身の丈に合ってたりるすような、しないような…。

 

20.ごめんね

本編に登場したダンサーやパフォーマンス集団が全員登壇。会場には大量のシャボン玉が飛ばされました。とあるインタビュー記事によるとこの曲はUNDERTALEが元ネタになっているみたいですが、僕はこの光景を見て悪役も仲間もハッピーエンドを迎えるPルートのEDが思い浮かびました。後半ではバンドサウンドを加えたアレンジもあり、こんなに明るい曲だったのかと驚愕。

 

21.灰色と青

雪国まで菅田将暉を呼ぶわけにもいかないので当たり前ですが米津玄師ソロバージョン。モニターには水中から水面を見上げた映像が終始映し出されていました。夏の爽やかさと人間臭い情熱を合わせ持った曲です。我々道民にとってはまだまだ先の季節…。

 

 

 

以上がライブ全編のレポートです。こうして見てみると打ち込み中心のヒップホップ的楽曲からバンドサウンド中心のロック曲まで、本当に幅広いジャンルをこなしているなぁと改めて思います。しかも、こんなキャパシティの広い音楽を米津玄師という男一人で作り出しているのが驚き。逆に「ソロだからこそ」とも言えるのですが。

そして、レポート中に何度も「演出が〜演出が〜」と書いてきましたが、特に良かった点がもう一つ。セトリの流れが本当に綺麗でした。言葉では説明しにくいのですが、序盤、中盤、終盤に来るべき曲がそれぞれピタッとハマっていたというか…。シングル曲からカップリング曲、アルバム曲まで差別することなく音楽を届けたいという愛を感じました。

 

この約1年で国民的アーティストとなった米津玄師。僕は数年前から追っていますが、ここまで有名になるとは思いもしませんでした。この何とも生きにくい世の中で現在大注目を浴びている彼の音楽が、果たしてどこに行くのか、いつ終わるのかも全く予測できません。僕らにできるのは、もはや彼が生み出す前人未到の音楽に食らいついていくことだけなのかもしれません。でもそれが面白いところ。だからこそ、僕はこれからも米津玄師というアーティストに注目していきたいと思っています。

 

では、今回はこんなところで。